生産性向上設備投資促進税制について


生産性向上設備投資促進税制は、設備の新陳代謝を図ることや民間投資を促進する目的で平成26年度税制改正により創設されたものです。

この制度の適用対象業種は決まっておらず、全ての業種について、要件に該当しさえすれば投資額全てを事業の用に供した年度で損金算入することができます。

生産性向上設備投資促進税制の概要


生産性向上設備投資促進税制は、平成26年1月20日から平成29年3月31日までに設備を取得し、かつ、事業の用に供した場合について、下記の期間に応じてそれぞれ次の金額の特別償却または税額控除のどちらかを適用することができます。

特別償却とは、所得金額を計算する上で、損金として所得金額から控除する方法をいい、税額控除とは、税額を計算する上で、税額から直接控除する方法をいいます。

生産性向上設備投資促進税制の適用期間と適用額

取得・事業共用期間 平成26年1月20日~平成28年3月31日 平成28年4月1日~平成29年3月31日
特別償却の場合 即時償却 取得価額×50%
ただし建物、構築物は25%
税額控除の場合 取得価額×5%
ただし建物、構築物は3%
取得価額×4%
ただし建物、構築物は2%

(注)税額控除は、摘要年度の法人税額の20%が上限となります。

即時償却とは、取得価額から通常の減価償却費を控除した部分を指します。つまり、普通償却費と即時償却部分を合わせて、取得価額の100%を取得初年度で償却できることになります。

税額控除は、中小企業投資促進税制の上乗せ措置を適用することができると、下記の通り、さらに税額控除が増えます。

税額控除の上乗せ措置

取得・事業共用期間 平成26年1月20日~平成28年3月31日 平成28年4月1日~平成29年3月31日
生産性向上設備投資促進税制 取得価額×5% 取得価額×4%
中小企業投資促進税制
・資本金3000万円以下の会社 取得価額×10%
・資本金3000万円超1億円以下の会社 取得価額×7%

いずれも適用年度の法人税額の20%が上限となります。

対象設備

対象となる資産は、大きくA類型(先端設備)とB類型(生産ラインやオペレーションの改善に資する設備)の2つに分かれます。
いずれも新品でなければいけません。
また、バックオフィス(本社のみ機能を有する建物、寄宿舎・福利厚生等施設、事務用器具備品等)は対象外です。

A類型(先端設備)

設備の種類 用途または細目
機械装置 全て
工具 ロール
器具備品 ・試験または測定機器
・陳列棚及び陳列ケースのうち、冷凍機付きまたは冷蔵機付きのもの
・冷房用機器または暖房用機器
・電気冷蔵庫、電気洗濯機その他これらに類する電気またはガス機器
・氷冷蔵庫及び冷蔵ストッカー(電気式のものを除く)
・サーバー用の電子計算機(その電子計算機の記憶装置にサーバー用のオペレーティングシステムが書き込まれたもの及びサーバー用のオペレーティングシステムと同時に取得または製作されるもの)
建物 ・断熱材
・断熱窓
建物付属設備 ・電気設備
・冷房、暖房、通風、ボイラー設備
・昇降機設備
・アーケードまたは日よけ設備(ブラインドに限る)
・日射調整フィルム
ソフトウェア 設備の稼働状況等にかかる情報収集機能及び分析・指示機能を有するもの

B類型(生産ラインやオペレーションの改善に資する設備)

設備の種類 用途または細目
機械装置 全て
工具
器具備品
建物
建物付属設備
ソフトウェア

対象設備の金額基準

A類型、B類型ともに下記の金額が最低取得価額です。

設備の種類 最低取得価額
機械装置 単品160万円
工具及び器具備品 単品120万円(単品30万円かつ合計120万円を含む)
建物 単品120万円
建物附属設備 単品120万円(単品60万円かつ合計120万円を含む)
ソフトウェア 単品70万円(単品30万円かつ合計70万円を含む)

手続

A類型は、資産の取得前でも後でもいいので、工業会の証明書の発行を受ければ適用の対象となります。

一方B類型は、資産の取得前に公認会計士等の確認を受けた投資計画を添えて経済産業局に事前確認を受ける必要があります。
またこの制度の適用を受けた場合にはその後3年間は履行状況を報告しなければならない点に注意が必要です。